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君を見上げて

はすこしだけ

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はすこしだけ


それにしても遅いな、まだかな、と泉はトイレスペースの方に向きなおった。ノックしてからも三分はとっくに経過したはず
だ。泉は再び扉をあけて中のスペースに入り、以前としてそこには誰もいないことを確認した。
当然、まだ人がいるのよね。私は外で待ってたけどその間誰も出てこなかった、男の人でさえも。
泉は催促もあってノックをしてみた。三分を過ぎても黙っているほど暇な状況ではなかった。
…ノックが返ってこない。泉は不思議に思った。試しに、もういっかいノックをしてみた。コン、コン。
……。
おかしい。何か緊急ごとだろうか?泉は声に出して「すみませーん。」と言ってみた。
返事が無い。
仕方がないので、泉はまずいかもと思いながらも、おもいきってドアノブを開けてみた。
誰もいなかった。人一人として。個室は広く、がらんどうとした空間が泉を待ちうけているだけだった。
 ??たとえば私は最初に内から返ってきたノックの音を空耳でもしたのだろうか……泉はそこで深く考えることをやめて、便
座に座った。まぁ、いいや。こうして便座に座ると、個室の広さに改めておどろくのだった。
そもそも、店舗は本当に広かった。とても普通のコンビニとは思えない。一次会の場所と二次会の場所の中間あたりにある、
なんの変哲もない立地なのだけれども。
コン、コン。
泉は思わずびくっとした。ノックがしたからだ。え、もう次の人が待っているの?泉は一度冷静になった。
「はーい。入ってます。」
はやくみんなの元へ戻らなければな、と思った。しかしちょっとすると、
コン、コン。
またノックの音がした。しかも今度はさっきより強めの音だった。人がトイレに入っている時にこうして気短な催促をされる
のはとても嫌なものだ。泉はすこしだけ憤慨した。
「はーい!入ってます。」私の声が聞こえていないはずはない、泉は大きめの声を出した。
ガンガン!
ドアを荒々しく叩く音がした。それはもうノックとよべるものではなかった。なに、なんなの、こっちは入っているって言っ
てるじゃない?いい加減にしてよ!
しかし、そのドアを叩く音は止まなかった。立て続けに、ガンガン!、バンバン!、とまるで債務遅延者の自宅に駆けこんで
どなり散らすやくざのように、ドアを叩く音は激しくなる一方だった。
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